帝王切開の流れは目にすることがあっても、意外と伝わってこないのが術後の情報です。
出産を終えて我が子をゆっくり眺めたいところですが、術後しばらくは自分の思うように身体が動かせないのです。
帝王切開という言葉だけをきいていると、赤ちゃんの誕生する方法であって、みんながしている事だから簡単な手術かとおもいきやお腹はガッツリ切られるし、痛みは人それぞれだと言うけれど激しく痛いし、術後は体験した事のない不自由さです。
こんなことを聞いてしまうと帝王切開での出産が不安になってしまうかもしれませんが、私の様に何も知らないでいると、がっかり感が半端ないと思うのです。
「えっ?みんなこんな扱いうけるの?私だけこんな扱いなんじゃないの?」と私の場合マイナスな考えでいっぱいになりましたが、
「あ~、ブログであんな風に言っている人いたな」と思い出してもらえると、この辛さ自分だけじゃないと思えると思います。
そこで今回は術後自分がどんな状態で、どんなケアがされるのかを中心にお話ししたいと思います。
手術直後
<手術室にて>
半身麻酔で意識があったとしても、手術直後は下半身が動かせない状況です。手術前に自力で乗ったストレッチャーでしたが手術台からストレッチャーに移動するにも一苦労。医師や看護スタッフ4人が一緒になって「せーの」と声をかけあって移動させられました。
麻酔の効き方にもよると思いますが、私の場合手術直後も意識はしっかりとあり、先生の問いかけに答えられる事ができたにもかかわらず、不思議なくらい体は動かせないのです。金縛りにあった時のような状態に似ています。
<部屋に帰ってきて>
<着替え>
手術着から入院着に着替えさせられるのですが、これまた自分では何もできません。着替えもすべて助産師さんがやってくれました。
<悪露>
産後は帝王切開術の人でも生理のような悪露が出てくるものなのですが、産褥パット(ナプキン)も自分ではつけられません。なので、自力でトイレに行けるようになるまでは、産褥パット交換作業もすべて助産師さんがやってくれます。オムツを換えてもらう経験をしてしまいます。何も知らなかった私にとっては衝撃の体験でした。自分の子どものオムツ交換もまだしたことないのに、自分がオムツ交換されているなんて・・・。
<バイタルチェック>
酸素飽和度を計る器具が手の中指に取り付けられます。ゆるい洗濯バサミが中指についている感じです。これは手術中もずっとついていました。その他、体温や、血圧測定などもこまめに行われます。
<産褥血栓塞栓症の予防>
足には、フットポンプといって、足をマッサージするような機械がとりつけられます。これは血液の流れが悪くなって足の静脈に血栓(血のかたまり)ができるのを防ぐためのものです。足に巻かれた浮き輪のようなものに機械で空気が送り込まれ足が締め付けられたり、また緩まったりとまさにフットマッサージのようなものなのですが・・・。
術後、麻酔が効いた状態だと何をされてるかも全く分かりません。そして、ブオ~という機械音が気になり眠れなかった思い出があります。
私の記憶では、足首から膝下くらいまでスッポリその機械に包まれていて、麻酔がきれた後は足が拘束されている感が嫌でした。
同じく帝王切開で入院していた人に「あの音うるさくなかった?」と聞いてみたら、「そんなのがついていることさえ気づかなった」と言う人と、「あれが気持ちよかった」と言う人もいました。感じ方は人それぞれですね。
<尿のチェック>
手術前に導尿しているので、手術後もそのままです。尿意は感じないのですが、定期的におしっこバックに尿は流れているようです。助産師さんが巡回してくるたびに尿量などをチェックしています。
<子宮復古が順調に進んでいるかチェック>
産後、普通分娩でも帝王切開でも子宮が妊娠前の元の大きさに戻ろうとする動きがあります。それが子宮復古です。
普通分娩の方は産後すぐに歩いたりできるので比較的子宮の戻りが順調なのだそうですが、帝王切開の場合、出産直後は寝たきり状態になるので、普通出産の方より子宮復古が遅れがちになるようです。
助産師さんが子宮の高さ、硬さを確認するのですが、その確認方法がお腹を手で触って確認!子宮内に悪露がたまっている可能性があると判断された場合、子宮復古の妨げになるので、子宮のあたりをマッサージして悪露を出します。
つまり出来立てホヤホヤの傷の周りを手で押されるのです!
麻酔が効いている時はそれほどでもないのですが、麻酔がきれるとこのチェックが拷問の様に感じます。
これは声にならないほど痛かったです・・・。
押されて悪露がドロドロっと出てくる時もありました。なので、大切なケアなのですが・・・。
<点滴>
産後は抗生剤と補液の点滴がされてます。その他、子宮の戻りが悪いと子宮収縮剤の点滴や、出血が多かった場合は造血剤など、その時の状態に合わせた点滴が追加されます。
<赤ちゃんのお世話>
帝王切開で産まれた赤ちゃんは自然分娩で産まれた赤ちゃんより呼吸がうまくできないため、お腹から出てきてお母さんと対面したらすぐに保育器に入って様子をみます。ですが、しばらく保育器に入って呼吸が安定してきたら、その日のうちに保育器から出ることができます。
なので、赤ちゃんの状態が良ければ部屋で赤ちゃんと対面もできます。
お母さんはおそらく起き上がれない状態なので、助産師さんが赤ちゃんを連れて来てくれて添い寝させてくれたり、助産師さんに手伝ってもらって寝たまま授乳させてみることも可能です。
ですが、オムツ交換したり、本格的な授乳はできないので、お母さんが起き上がれるようになるまでは助産師さんがお世話をしてくれます。
終わりに
このように、手術直後はほとんど自分では何もできません。麻酔が効いているうちは足の感覚が無い状態で、麻酔が切れたあとは傷の痛みで動けないのです。
何をするにも看護スタッフに手伝ってもらわないといけません。
せめてゆっくりしたいと思っても、産後のケアでたびたび助産師さんが部屋にやってきます。
もちろん自分でできる状態ではないので仕方ないことなのですが、お世話してもらうことに慣れてない人は苦痛に感じるかもしれません。早く自分でなんでもやりたいのに!と思うのですが、身体が思うように動かせないもどかしさ。
そこに追い打ちをかけるように、助産師さんは部屋に訪れるたびに傷の周りを手で押していきます。
もうこれはイジメなんじゃないか?って何度も思いました。
でも産後落ち着いてから、帝王切開の事を調べてみたら、ほとんどの人が経験してる事でした。なのでここはもう覚悟を決めて
自分の身体が復活するのを待ちましょう。
それしかないです。
赤ちゃんと対面できる人は赤ちゃんからパワーをもらって、赤ちゃんが保育器に入っていて会えない人は、早く会いに行けるように自分を復活させよう!って思いで、術後の夜を乗り切ってください!